この記事では、スペインの国際テレワーカー(デジタルノマド)ビザについて解説します。
国際テレワーカービザとは?
スペインでリモートワークを希望する非EU市民向けに2023年に導入されたビザです。
このビザを取得すれば、スペイン国内で合法的に居住し、海外のクライアントや企業向けにリモートで働くことができます。
このビザは「スペイン起業家法(スタートアップ法)」の一部として制定されました。
デジタルノマドビザは、スペインに興味がある、あるいは住んでみたいというテレワーカーにとって、非常に魅力的なオプションといえます。
ただし、安易に取得できるわけではないのでその点は注意が必要です。
こんな人におすすめ
スペインの国際テレワーカービザは、ざっくり言って、こんな人たちにおすすめです。
企業やグループに所属していて安定した収入とある程度の貯蓄があり、企業(グループ)側から100%、ネットを介したリモートワークが許可されている。
在宅でネットを介してサービス提供しているフリーランスまたは個人事業主で、複数または大口のクライアントからコンスタントに発注があり、ある程度安定した収入と貯金がある。
一日中デスクに向かいっぱなし、週末も休む暇がないほど必死に仕事をこなさなくても、暮らしていけるだけの収入がある。
仕事も面白いが、スペインで生活し、やってみたいことがある。
あなたの現状が上に当てはまるようなら、これまで通り働きながらスペインで暮らす夢を実現できるビッグチャンスです。
海のそばに住んでサーフィンに明け暮れる、アンダルシアでフラメンコを学ぶ、スペインワインについての知識を深める…etc。
やりたいことや目的によって、スペイン国内で住む場所を好きに選べるところもテレワーカーの強みです。
仕事の上では生活していけるだけの利益を出し続けないといけませんが、これまで努力を重ね、軌道に乗った仕事を持つテレワーカーであれば、その点は比較的簡単にクリアできるのではないでしょうか。
時間的余裕があまりないペースで働いている人でも、どうしてもスペインで暮らしてみたいのなら、もちろんチャレンジする価値があります。
通常、就労ビザを持たない外国人がスペインで仕事を見つけるのは、不可能に近いと言っても過言ではありません。
国際テレワーカービザがあれば、就職活動をする必要もなく、いきなりスペインで合法的に働けるのですから、その恩恵は絶大です。
また、動画編集者であれ、Webライターであれ、Webデザイナーであれ、仕事の相手は基本的に日本企業やクライアントなので、日本とのつながりはきっちりと保ったままでいられることも、高ポイントです。
全体の流れ
全体の流れは、大まかに言って
「ビザを取得する」→「スペインに行く」→「現地で滞在許可証を取得する」
となります。
ステップ1: 必要書類を準備する
- パスポートのコピー。
- 雇用契約書またはフリーランス契約書。
- 職務経験を証明する書類(推薦状、業務実績)。
- 学歴証明(卒業証書、資格証明書など)。
- 銀行残高証明書(最低25,920ユーロ)。
- 月収証明書(最低2,160ユーロ)。
- 医療保険加入証明書(スペインで有効なもの)。
ステップ2: 申請書を提出
スペイン領事館または在住国のスペイン大使館で申請書を提出します。オンラインでの申請が可能な場合もあります。
ステップ3: ビザの受け取り
書類審査が完了し、承認されると最長1年間有効なビザが発行されます。
ステップ4: スペイン到着後の手続き
到着後またはビザ失効前の60日以内に、「国際テレワーカー滞在許可証」への切り替えを申請します。この許可証は最長3年間有効なので、最大で3年間スペインに住むことができます。
最初の許可証の有効期限が近づいたら、2年間の延長申請が可能です。この更新手続きを行うことで、さらに2年間スペインで滞在できます。
つまり、許可証を初めて取得してから5年間(最初の3年間 + 2年間の延長)までは、この許可証を使ってスペインに住めることになります。
必要な収入と預金条件
収入条件
- 単身: 月収2,160ユーロ。
- 配偶者または扶養家族1人追加: 月収810ユーロ。
- 扶養家族2人以上: さらに1人あたり月収270ユーロを追加。
例: 配偶者と子供1人の場合、月収は 2,160ユーロ + 810ユーロ + 270ユーロ = 3,240ユーロ 必要。
預金条件
- 単身: 銀行残高25,920ユーロ以上。
- 配偶者または扶養家族追加の場合、追加分も考慮した額を預金していること。
国際テレワーカー(デジタルノマド)ビザのメリットとデメリット
メリット
- 迅速な審査: 一般的なビザより短い20営業日で審査完了。
- 滞在期間のカウント: このビザでの滞在期間は永住権(5年必要)の取得にカウント可能。
- 家族と移住可能: 配偶者や扶養家族も一緒に滞在許可証を取得可能。
- EU全域の旅行自由: シェンゲン圏内を自由に移動できる。
デメリット
- 申請要件が厳しく、準備が必要。
- 自営業者の場合、スペイン国内クライアントとの取引が20%以下に制限される。
- 医療保険の加入義務があるため追加費用が発生する。
FAQ: よくある質問
- Q国際テレワーカービザと非営利居住ビザの違いは?
- A
国際テレワーカービザと非営利居住ビザはどちらもスペインでの合法的な居住を可能にするビザですが、目的や要件に明確な違いがあります。
項目 国際テレワーカービザ 非営利居住ビザ 目的 リモートワーク(遠隔業務)を行うためのビザ 居住のみが目的で、就労・収入を伴う活動は禁止されている 対象者 リモートで仕事を続ける非EU市民(被雇用者、自営業者) 十分な経済的資源を持ち、スペインで生活費を賄える非EU市民 就労可能性 許可されている(条件付き:スペイン国内クライアントとの取引は20%以下) 禁止されている 収入要件 月収2,160ユーロ以上(扶養家族がいる場合は追加要件あり) 年間400%IPREM(約28,800ユーロ)以上の安定した収入が必要 滞在年数のカウント 永住権(5年必要)にカウントされる 永住権(5年必要)にカウントされる 家族の滞在許可 配偶者、子供、扶養家族も含められる 配偶者、子供が同様に滞在許可を取得可能 更新条件 初回最大1年、その後3年間有効の許可証に切り替え可能 毎年更新が必要 申請プロセスの難易度 比較的簡単(必要な職歴や雇用証明が揃っていれば) 財務状況の証明が厳格で、審査が慎重に行われる
- Qスペインの医療保険は必要ですか?
- A
はい。申請時にスペインで有効な民間医療保険に加入していることが求められます。
- Qテレワーカービザで現地の仕事はできますか?
- A
被雇用者の場合、スペイン国外に拠点を置く企業のみ雇用契約が可能です。
自営業者の場合、スペイン国内クライアントとの契約割合が20%を超えない範囲で可能です。
- Qビザ申請の際にどの程度の職業経験が必要ですか?
- A
最低3年間の職業経験が必要です。
この経験は、申請する職務分野に関連している必要があります。
以下の方法で職業経験を証明できます:- 雇用主やクライアントからの推薦状。
- 過去の契約書や業務実績を示す書類。
- ポートフォリオ(特にフリーランサーの場合)。
特に、リモートで実施される職務での経験が重視されるため、関連資料をしっかり準備してください。
- Qスペインに到着後、滞在許可証を申請する際の注意点は?
- A
いくつか重要な注意点があります。
- 申請期限を守る
- スペイン到着後、またはビザ失効の60日前以内に申請を行う必要があります。
期限を過ぎると滞在が不法と見なされ、再申請が困難になります。
- スペイン到着後、またはビザ失効の60日前以内に申請を行う必要があります。
- 書類の正確性を確認する
- 必要な書類(雇用証明書、収入証明、家族関係の証明書など)を事前に準備し、すべてスペイン語または公式翻訳済みで提出する必要があります。
- 申請場所
- 地域の出入国管理事務所(Oficina de Extranjería)で手続きを行います。
事前予約が必要な場合が多いため、公式ウェブサイトで確認してください。
- 地域の出入国管理事務所(Oficina de Extranjería)で手続きを行います。
- 申請期限を守る
- Q国際テレワーカービザでの滞在期間中、スペイン国外に一時的に出ることはできますか?
- A
はい、可能です。
国際テレワーカービザまたは滞在許可証を保持している場合、以下の条件下でスペイン国外への一時的な出国が認められます:- 出国期間
- 合計で6か月未満であれば、滞在許可証の有効性に影響はありません。ただし、特定の状況下では、1年間で最大183日以上スペイン国外に滞在すると居住資格が失われる場合があります。
- シェンゲン協定内の自由移動
- スペインを含むシェンゲン協定加盟国内での移動は制限なく可能です。
- 長期出国の場合の手続き
- 出国期間が長期に及ぶ場合は、滞在許可証を保持したままスペイン国外での滞在を認めてもらう「特別許可」を申請できます。
- 出国期間が長期に及ぶ場合は、滞在許可証を保持したままスペイン国外での滞在を認めてもらう「特別許可」を申請できます。
スペイン国外に長期間出国する予定がある場合は、事前に移民局または滞在許可管理事務所に相談することをお勧めします。
- 出国期間
国際テレワーカービザは、スペインで新しい生活をスタートさせるための大きなチャンスといえます。
このビザを取得すれば、あなたがこれまで築いてきたキャリアをそのまま活かしながら、スペインの豊かな文化や暮らしを楽しむことができるのです!
申請にはいくつかの条件や準備が必要ですが、一つひとつのステップをクリアしていくことで、スペインでの新しい日常が現実に近づいていくと思って頑張ってください。
このページがその道のりを少しでも分かりやすく、心強いものにするお手伝いができたなら、うれしい限りです。
大切なのは、焦らず、着実に準備を進めること。
どんなに小さな一歩でも、それは確実に前進です。
あなたの夢をぜひ叶えてくださいね。
¡Mucho ánimo y suerte! 😊
コメント