「働き方を変えずにスペインで暮らす」という選択肢

この記事では、スペインの国際テレワーカー(デジタルノマド)ビザについて解説します。

このたび、スペインの「起業家法」(スタートアップ法)が改正され、いわゆる「国際テレワーカービザ」という新しい許可証が導入されました。

この新しいビザは、スペインに興味がある、あるいは住んでみたいというテレワーカーにとって、非常に魅力的なオプションといえます。

ただし、安易に取得できるわけではないのでその点は注意が必要です。

スペインの国際テレワーカービザは、ざっくり言って、こんな人たちにおすすめです。

企業やグループに所属していて安定した収入とある程度の貯蓄があり、企業(グループ)側から100%、ネットを介したリモートワークが許可されている。

在宅でネットを介してサービス提供しているフリーランスまたは個人事業主で、複数または大口のクライアントからコンスタントに発注があり、ある程度安定した収入と貯金がある。

一日中デスクに向かいっぱなし、週末も休む暇がないほど必死に仕事をこなさなくても、暮らしていけるだけの収入がある。

仕事も面白いが、スペインで生活し、やってみたいことがある。

あなたの現状が上に当てはまるようなら、これまで通り働きながらスペインで暮らす夢を実現できるビッグチャンスです。

海のそばに住んでサーフィンに明け暮れる、アンダルシアでフラメンコを学ぶ、スペインワインについての知識を深める…etc。

やりたいことや目的によって、スペイン国内で住む場所を好きに選べるところもテレワーカーの強みです。

仕事の上では生活していけるだけの利益を出し続けないといけませんが、これまで努力を重ね、軌道に乗った仕事を持つテレワーカーであれば、その点は比較的簡単にクリアできるのではないでしょうか。

時間的余裕があまりないペースで働いている人でも、どうしてもスペインで暮らしてみたいのなら、もちろんチャレンジする価値があります。

通常、就労ビザを持たない外国人がスペインで仕事を見つけるのは、不可能に近いと言っても過言ではありません。

国際テレワーカービザがあれば、就職活動をする必要もなく、いきなりスペインで合法的に働けるのですから、その恩恵は絶大です。

また、動画編集者であれ、Webライターであれ、Webデザイナーであれ、仕事の相手は基本的に日本企業やクライアントなので、日本とのつながりはきっちりと保ったままでいられることも、高ポイントです。

メリット

  • テレワーカーであれば被雇用者であっても自営業者であっても申請できる。
  • わずか20営業日で許可が下りる(ちなみに、一般的な許可証の場合は3ヶ月かかるのが普通です)。
  • 申請には家族も含めることができ、家族も滞在許可証を取得することができる。
  • 滞在許可証を保持した期間は、永住権の取得に必要とされる居住年数にカウントされる。
  • EU全域を自由に旅行できる。

デメリット

  • 申請要件が面倒で、中にはハードルが高いものもある。
  • ネットビジネスを所有しているだけで取得できるわけではない。

全体の流れは、大まかに言って

「ビザを取得する」→「スペインに行く」→「現地で滞在許可証を取得する」

となります。

まずは「国際テレワーカー(デジタルノマド)ビザ」 を取得する

国際テレワーカー(デジタルノマド)ビザは、出身国または合法的に居住している国のスペイン領事館で申請しなければなりません。

書類が審査され、すべての要件を満たせば、最長1年間のビザが発給されます。

被雇用者または自営業者からの要請に応じて、有効期間をそれより短くすることもできます。

国際テレワーカー(デジタルノマド)ビザは、有効期間中、スペインに居住し、遠隔地で就労するための十分な資格となります

現地で「国際テレワーカー滞在許可証」を取得する

スペインに引き続き居住することを希望する国際テレワーカーは、ビザを取得してスペインに到着後、またはビザの失効前60暦日以内に、出入国管理事務局に国際テレワーカー滞在許可証を申請することができます。

ただし、国際テレワーカービザの取得が認められた状況が、引き続き維持される場合に限ります。

国際テレワーカー滞在許可証とは?

基本的に国際テレワーカービザの有効期限内は、滞在許可証がなくてもスペインに住み働く権利が保証されています。

ですから、引き続きスペインに残ってテレワークを続けたい場合のみ、ビザの失効前(60暦日以内)に国際テレワーカー滞在許可証に切り替えるのもありです。

ただ、もしあなたが将来スペインに永住することを少しでも視野に入れているのなら、スペインに到着後すぐに申請することをお勧めします。

なぜなら、スペインの他の滞在許可証と同様、この滞在許可証の保有期間も、永住権の取得に必要な居住年数(5年)にカウントされるからです。

国際テレワーカー滞在許可証の有効期間は3年間で、それより短い期間の申請も可能。

取得が認められた状況が維持されている限り、その後2年間は更新が可能です。

それが何を意味するかお分かりですね?

そう、国際テレワーカー滞在許可証を最長期間(5年間)更新し続けると、永住権の取得が可能になるのです。

どういった人が、このビザを申請できるのですか?

さすぴ
さすぴ

職業的な活動または専門的な活動をリモートで行くことを希望するすべての非EU市民で、

  • 大学または大学院の課程を修了している。
  • 職業訓練や権威のある学校を卒業している。
  • リモートで行う職務(専門)分野で3年以上の経験がある。

のいずれかを証明できる人であれば、誰でも申請できます。

職業訓練や権威のある学校には、どんなところが当てはまりますか?

さすぴ
さすぴ

国や自治体によって認可された専門学校や、卒業後に学位や資格が与えられるところであれば大丈夫です。ただし学位や資格は、リモートで行う職務(専門)の分野を学んだことを証明するものでなければなりません。

プログラミングスクール卒業でも申請できますか?

「3年以上の経験」とは職場での経験のことですか?

さすぴ
さすぴ

民間のプログラミングスクールの場合、受講期間が短く、卒業しても資格や学位をもらえるわけではないため、プログラミング分野のテレワーカーとして申請するには十分とはいえません。「リモートで行う職務(専門)分野で3年以上の経験がある」で申請するのが妥当です。この場合、プログラマーとして実際に3年以上の職業経験があることを明記した証明書を、勤め先か職業上の関係がある企業からもらっておきましょう。

家族には配偶者と子供以外も含まれますか?

さすぴ
さすぴ

はい、含まれます。
起業家法(スタートアップ法)に規定されている他の許可証と同様、テレワーカーの

  • 配偶者
  • 未成年者または成年者であって、ビザ保持者に経済的に扶養されている子供
  • 扶養家族(両親・祖父母など)

も、テレワーカーと一緒にビザ/滞在許可証を取得できます。

どのぐらい収入があれば申請できますか?

さすぴ
さすぴ

スペインの最低賃金の2倍、すなわち 2,160€ の月収がある、または 2,160€ × 12か月=25,920€ の口座預金があることを証明しなければなりません。もし同行する家族がいる場合、一人目はスペインの最低賃金の75%である 810€ が加算され、二人目以降は、一人につきスペインの最低賃金の25%である 270€ が加算されます。つまり、同行する家族が一人である場合は 2,160 € + 810 € = 2,970 €、二人である場合は 2,160 € + 810 € + 270 €= 3,240 € の月収があることを証明する必要があります。

被雇用者と自営業者とで、ビザの内容に違いはありますか?

さすぴ
さすぴ

はい、あります。以下に違いを説明します。

被雇用者

雇用主は、スペイン国外に拠点を置く企業のみに制限される。

自営業者

スペイン国外に拠点を置く企業とスペイン国内にある企業の両方と契約することが可能。ただし、スペイン国内に拠点を置く企業に提供する仕事の割合は、職業活動全体の20%を超えてはならない。

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